【実戦14回】伯耆大山164分短縮と朝日山33回の登山成長録!夫婦で挑む雪山講習と環状道路の凍結罠
中国地方の最高峰・ 伯耆大山(ほうきだいせん・一般登山道の最高地点である弥山[みせん]山頂 標高 1,709m / 最高峰・剣ヶ峰 1,729m[立入禁止]) の夏山登山道は、登山口から山頂まで延々と丸太階段と急登が続く「ごまかしの効かない体力測定の山」であり、冬になれば日本海の季節風が吹き荒れる「西日本屈指の本格雪山」へと姿を変えます。
私たち夫婦も、最初に挑戦した頃は 「5合目で引き返す練習」「7合目で引き返す練習」 から始め、初登頂のときは 登りだけで 4時間(240分) もかかって膝がガクガクになっていました。しかし、地元のホームマウンテン 『朝日山(松江市・標高 342m)』での年間 33回トレーニング とプロの雪山技術講習を地道に積み重ねた結果、1年間で 伯耆大山に計 14回登頂(無積雪期 11回 + 積雪期 3回) し、無積雪期の登りタイムは 最速 164分(2時間44分:当初から 76分短縮!) を達成することができました。
本記事では、「運動経験に自信がない大人夫婦が、怪我や遭難をゼロに抑えながら無雪期のタイム短縮と積雪期デビューを叶えるまでのリアルなステップアップ全記録」と、冬にマイカーで大山へ向かう人が絶対にはまってはいけない 『県道158号(大山環状道路)の凍結罠』 まで余すところなく共有します。
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・伯耆大山(夏山登山道・行者谷コース等)に挑戦したいけれど、階段地獄でバテないか不安な初級〜中級ハイカー の方
・山陰地方(島根・鳥取)の身近な低山を活かして、普段の生活の中で無理なく登山体力を引き上げたい 方
・夫婦やパートナーと一緒に 「夏の百名山」から「冬の雪山(アイゼン・ピッケル入門)」へ安全にステップアップしたい 方
・冬季にマイカーで松江・米子・溝口方面から 博労座(ばくろうざ)駐車場へアクセスする際の安全な道路選び を知りたい方
最初は登るだけで 4時間もかかっていたのに、どうやって 2時間44分(164分)まで縮められたんだい?やっぱり毎日欠かさず山に登って根性で鍛えたのかい?
いいえ、「毎日登る根性論」はむしろ逆効果なんです!私たちが徹底したのは 「いきなり頂上を目指さない段階練習」 と 「週2回+超回復の低山ルーティン」、そして 「お尻の筋肉で登る歩行技術」 でした。順番に見ていきましょう!
登り4時間から164分へ短縮した年間の全記録
下のルート図は、私たちが何度も通い詰めた伯耆大山(夏山登山道〜石室周回を含む往復約 7.6〜8km・獲得標高約 950〜1,000m)の実測 GPS トラックです。

▲ 大山寺・博労座から夏山登山道を一気に登り詰め、弥山山頂と石室を巡る定番にして王道の急登ルート
5合目練習から年間14回登頂へ至る道のり
最初から「絶対に山頂まで行くぞ!」と意気込んで無理をすると、下りで膝を壊して山が嫌いになってしまいます。そこで私たちが実践した 1年間の積み上げがこちらです。
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お試し撤退練習(最初の 2回) : 1回目はあえて 「5合目まで」、2回目は 「7合目まで」 と最初から引き返す場所を決めて歩き、階段の段差と靴の相性、水分の減り方をテストしました。
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無積雪期の反復登頂(年間 11回) : 夏山登山道のピストンだけでなく、元谷から見上げる大迫力の北壁を経由する 行者谷コース なども織り交ぜながら、最初は 登り 240分(4時間) かかっていたタイムを、3時間半 ➔ 3時間切り ➔ 最速 164分(2時間44分) へと着実に短縮。周辺の下蒜山・男三瓶山・船通山などへも視野を広げました。
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積雪期の部分訓練と本登頂(登頂 3回 + 訓練 2回) : 冬に入ってからもいきなり山頂は狙わず、「2合目までのアイゼン足慣らし 1回」「6合目避難小屋までの雪上訓練 1回」 を別枠で挟んだうえで、11月に 1回・12月に 2回の積雪期登頂(計 14回登頂、周辺峰を含む大山エリア全体では年間 26回)を無事故で達成しました。
朝日山33回と週2回の超回復トレーニング
この基礎体力を日常で支えてくれたのが、島根県松江市(鹿島町)にある標高 342m(往復の累積標高差 約 280〜300m)の名低山 『朝日山(あさひやま)』 です。片道約 40分ほどのちょうど良い急坂と階段があり、東の峰・西の峰からは宍道湖や大根島、日本海まで見渡せる最高のホームマウンテンで、1年間に 33回 登りました。
ここで大山本番を控えた時期に強く意識したのが 「毎日登らない勇気(超回復と休養ローディング)」 です。
- 基本ベースは「週 2回」: 登山で使った太もも(大腿四頭筋)や臀部の筋繊維が修復されて以前より強くなる「超回復」には 48〜72時間 かかります。週 2回(例:火曜と金曜、または水曜と週末)の朝日山に絞ることで、疲労を溜めずに心肺と脚筋力だけを右肩上がりに伸ばせました。
- 大山本番の 3〜4日前からは「休養ローディング」: 本番直前に「昨日登れなかったから今日も行かなきゃ!」と焦って登ると、筋肉内のグリコーゲンが減った状態で大山の急登に突入してしまいます。本番前の数日間は思い切って休養日に充て、エネルギー満タンで登山口に立つのが最速タイムの秘訣です。
夫婦で受けた雪山講習と急がば回れの訓練術
無雪期で体力がついても、雪山は「体力だけで登れる世界」ではありません。私たちは独学の我流で冬の伯耆大山へ突っ込むことを厳に戒め、モンベルのアウトドア・チャレンジ(山歩き講習会<アイゼン編>・スノーシュー講習) や、地元山岳を熟知したプロガイドによる技術指導を受講しました。
お尻で乗るフラットフッティングとキック
講習で教わって目から鱗が落ち、その後の無雪期の歩行スピード改善にも直結したのが 「足先の力ではなく、お尻(大殿筋)で重心を真上から乗せる歩き方」 です。
- フラットフッティングの真髄: アイゼンを履いて斜面を歩く際、爪先だけで蹴り上げようとするとふくらはぎがすぐに攣り、後ろ足が引っかかって転倒しやすくなります。靴底全体を雪面にフラット(水平)に置き、後ろ足を抜く瞬間に前足側のお尻の筋肉(大殿筋)へスッと腰の重心を移動させる ことで、驚くほど少ない筋力で氷結斜面を安定して登れるようになりました。
- 妻が克服したキックステップ: 当初、雪の登りで足場を作れず苦労していた妻も、プロの指導で「膝から下を振り子のように使って靴のつま先を水平に雪へ蹴り込むリズム」を教わった瞬間、見違えるように安定したステップを刻めるようになりました。
滑落停止の体得と3合目でも引き返す勇気
さらに講習で最も得難い財産になったのが、実際の雪斜面を使って 「前のめりに転んだときの制御」と「ピッケルを使った滑落停止(セルフアレスト)訓練」 を身体で反復できたことです。

▲ 麓が穏やかでも油断は禁物。樹林帯の3〜4合目訓練だけでも学びは絶大

▲ 稜線が風速20m/s超の日は、潔く駐車場や樹林帯での技術練習に切り替える
実際、ある講習日は山頂付近が風速 26m/s の大荒れでしたが、ガイドさんの的確な判断で駐車場周辺や樹林帯での徹底的な基礎訓練に切り替わり、これが後の自主訓練でそのまま活きました。私たち自身も夫婦だけで練習に行く日は、「トレースがなければ 1合目手前でも引き返す」「今日は 3〜4合目でキックステップの反復だけして 6合目へは行かない」 と決めて入山しています。山は逃げないからこそ、この「急がば回れ」が一番の近道です。
・ 6合目より上は『10〜12本爪アイゼン+ピッケル+ヘルメット』必須(軽アイゼン厳禁!) : 独立峰である伯耆大山の森林限界(6合目避難小屋)より上は、日本海からの暴風雪で雪面がカチカチに氷化(アイスバーン化)します。チェーンスパイクや 4〜6本爪の軽アイゼン・トレッキングポールのみで 6合目より上へ登るのは滑落事故の典型パターンのため絶対厳禁です。必ず前爪のある 10〜12本爪アイゼン・ピッケル・ヘルメット・防風ゴーグル・バラクラバを携行し、訓練を積んでから挑んでください。
・ 北壁側(元谷側)の『巨大雪庇』踏み抜き厳禁 & 剣ヶ峰方面への立入禁止 : 6合目から上の夏山登山道では、左手の北壁(元谷)側に向かって巨大な 雪庇(せっぴ:崖の上に雪がひさし状に張り出した危険地帯) が発達します。トレースが北寄りに付いていても絶対に近づかず、必ず 南側(標柱寄り)の安全なライン を歩いてください。また、弥山山頂から先の剣ヶ峰(標高 1,729m)方面は崩落が激しい立入禁止区域のため、四季を問わず絶対に足を踏み入れてはいけません。
・ 慣れた山でも毎回の『登山届』提出を徹底 : 10回以上登った勝手知ったる夏山登山道や朝日山であっても、オンラインの「コンパス(Compass)」や登山口ポストで毎回必ず登山届を提出し、家族と下山予定時刻を共有してから入山しましょう。
・ 山頂トイレの冬季閉鎖と『携帯トイレ』必携 : 伯耆大山の山頂避難小屋トイレは、例年 10月下旬〜11月上旬頃から春まで冬季閉鎖 されます。入山前に博労座駐車場や大山寺周辺の公衆トイレを必ず済ませたうえで、ザックに 携帯トイレ を常備しておくと安心感が段違いです。
冬のマイカー罠!環状道路と県道24号の選択
ここで、島根(松江・安来方面)や岡山・広島方面から冬〜春先にマイカーで伯耆大山の夏山登山口(博労座[ばくろうざ]駐車場)へ向かう方に、絶対に知っておいてほしい ドライブルートの罠 をお伝えします。
桝水経由の県道158号に潜む凍結スリップ
カーナビで松江方面や米子道・溝口 IC 方面から「博労座駐車場」を検索すると、最短距離として 「国道181号 ➔ 溝口 IC 付近 ➔ 県道45号 ➔ 大山ますみず高原スノーパーク ➔ 県道158号(大山環状道路) ➔ 博労座」 というルートを案内されることがあります。
地図で見ると桝水高原からそのまま横にスライドするだけだから、すごく近道に見えるわよ!冬でもそこを通ればいいんじゃないの?
それが冬の大山ドライブで一番怖い罠なんです!桝水高原から大山寺へ向かう 『県道158号(大山環状道路)』は標高が高く日陰の急カーブが連続するため、積雪による冬季通行止め区間や、濡れたアスファルトに見えてツルツルに凍っている『ブラックアイスバーン』のスリップ多発難所 なんです!
積雪時は米子側の県道24号へ回るのが鉄則
冬の早朝、安全かつ確実に博労座駐車場へたどり着くための鉄則は以下のとおりです。
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積雪・凍結期は迷わず米子側のメインルート『県道24号線(大山観光道路)』から登る : 少し遠回りに見えても、路線バスが通る県道24号線は 除雪の優先順位が圧倒的に 1番高く、道幅も広くて線形が素直 なため、桝水側の環状道路(県道158号)とは比較にならないほど安全にアプローチできます。
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スタッドレスタイヤ装着 + トランクに非金属チェーンを常備(法令遵守&事前練習) : 積雪・凍結路での冬用タイヤまたはチェーン等の滑り止め措置は道路交通法(県施行細則)上の義務であり、大雪警報級ではスタッドレス車でもチェーン装着が必須となる場合があります。朝の登りでは走れても、山に登っている数時間のあいだに大雪が降って駐車場から出られなくなるケースがあるため、必ず駆動輪に適合する脱出用チェーンとスコップを車載し、出発前に一度は自宅で装着手順を練習しておきましょう。
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大雪で車内待機・仮眠する際は『マフラー周りの除雪』を徹底 : 吹雪の駐車場で天候回復を待ったり早朝に車内で待機したりする際、車のマフラー(排気管)が雪で塞がれると排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素(CO)中毒 を起こす重大な危険があります。原則はエンジンを切って登山用防寒着や寝袋で保温し、やむを得ず暖房をかける際は定期的に車外へ出てマフラー周辺を広く除雪し、窓を少し開けて換気してください。
慣れた夏道でもGarminナビを起動する理由
最後に、14回も登って目をつぶっても歩けそうなほど慣れた伯耆大山の夏山登山道でも、私たちが毎回欠かさず 『Garmin fēnix 8』にヤマレコで作成した GPX ルートを入れて「コースナビゲーション」を起動させて歩いている理由 を紹介します。
残り標高差の可視化と緊急時のコース逆回り
「一本道で迷わない山なんだから、ただの登山アクティビティ記録(ログ取り)だけでいいのでは?」と思われがちですが、コースナビを動かすことには 3つの絶大な戦術メリット があります。
- ClimbPro で「あと何メートル登れば急坂が終わるか」が見える: 164分へのタイム短縮に一番効いたのがこれです。「今の勾配は何%で、6合目まで残り標高差あと何m」が手首でリアルタイムに分かるため、前半の飛ばしすぎ(オーバーペース)を完璧に抑えられます。
- 日没から逆算した「到着予想時刻(ETA)」がリアルタイム更新される: 現在の自分の歩行スピードが続いた場合、何時何分に山頂へ着くかが常に計算されるため、「12時を過ぎたらどこにいても下山開始する」という撤退判断が 1分の狂いもなく下せます。
- ホワイトアウト時の『コースを逆回り(Invert Route)』機能: 冬の 6合目〜山頂台地で急な濃霧(ガス)に巻かれた際、手元の時計で「コースを逆回り」を選ぶだけで、今来た安全ルートを正確に辿って下山ナビに切り替えることができます(※ただし氷点下の雪山では電子機器のバッテリー急減や故障リスクに備え、必ず『山と高原地図』等の紙地図・コンパスおよび予備電源を備えたスマホ地図アプリと二重化して携行するのが鉄則です)。
まとめ:地元の低山と正しい技術が百名山を開く
最初は「登り 4時間」で息が上がっていた私たちでも、地元の低山とプロの講習を味方につけることで、伯耆大山は四季折々の絶景で迎えてくれるかけがえのないフィールドになりました。
・ いきなり頂上やタイムを狙わず『5合目撤退練習』と『週2回の低山(朝日山)+超回復』から始める : 休養ローディングを挟むことで、無雪期の登り 240分 ➔ 最速 164分 への進化が無理なく実現します。
・ 雪山デビューは必ずプロ講習で『大殿筋で乗るフラットフッティング』と『滑落停止』を学ぶ : 夫婦でお互いの苦手を補い合い、悪天時は 3合目や駐車場訓練へ切り替える柔軟さが無事故の鍵です。
・ 冬のマイカーは『県道158号(環状道路)』を避けて除雪最優先の『県道24号』を選び、慣れた道でも Garmin コースナビを起動する : 登山口に着く前から下山後まで、すべてのリスクを先回りで潰しておきましょう。
身近な里山の 1歩は、確実に百名山の頂へとつながっています。ぜひ次の週末は、お近くのホームマウンテンから新しい季節への準備を始めてみてください!

ボクはリビング登山口からキャットタワー弥山山頂まで『登り最速 1.8秒』のコースレコード保持者だニャ!おやつエイドはまだかニャ?